本のタイトル通り、農水省・農林族議員・農協の持ちつ持たれつな関係を描きつつ、TPPをはじめとする貿易協定、そして農協改革へと切り込んでいく内容だ。
筆者の考えでは、前出3者には集票や行政介入、天下りなどの相互依存となる「鉄の三角形モデル」があったという。この関係で農政は一時期まではうまく回っていた。だが、その歯車がある時から狂いだし、官邸に権力が集中するにつれ、その関係は崩壊していく。
ガット・WTO、EPA、TPP、メガFTAと変遷する貿易協定の解説はとても勉強になった。日本の農産物の関税いかに撤廃されてきたのかがわかる。本書では特に日豪EPAとTPP交渉を対比し、鉄の三角関係が変化している点に着目している。日豪EPAは農協側が不利にならないよう、ある程度の歯止めがかかったものの、TPPでは事情が違い、当時の安倍首相の意向が通ったとのことだ。
農協改革の変遷についても大変勉強になった。当初の改革は農水省による穏健なもので、中央会の機能強化も図られていた。だが規制改革会議でさらに農協の力が削られる急進的な改革となり、全中の解体といった結果に至る過程がよくわかる。
一方、農協改革が進められた背景として、筆者は安倍政権による首相官邸への権力集中を指摘している。頷ける部分はあるものの、いささか政治的な駆け引きの拡大解釈にも見えるところがあり、個人的にはどうかと思うこともあった。
全体で見ると、貿易協定や農協改革の変遷、背景を知るにはとても参考になった。後半は筆者の持論が強い感はいなめないが、一読する価値はあると思った一冊だ。




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