「熱源」で直木賞を受賞した川越宗一氏のデビュー作「天地に燦たり」。第25回松本清張賞を受賞した小説だ。
舞台は織豊末期から江戸初期の朝鮮半島、琉球、日本。儒学を柱に、主人公の実在の武将・樺山久高と、オリジナルの真市と明鐘によって物語が紡がれていく。
久高視点で描かれる合戦の描写はリアルで引き込まれた。鉄砲と弓、槍、刀と当時の武器が使われる生きた合戦が迫力満点だった。
一方で儒学に関連する描写は飲み込むのに苦労した。というか、読後も飲み込めていない。そもそも簡単に理解できるものではなく、難読漢字もそこに拍車をかける。ただ、人と禽獣を分かつものに焦点を当て、苦悩する久高の姿は考えさせられるものであった。
琉球の描写も興味深かった。自称歴史好きの筆者はそこら辺の事情に疎く、これまでにない新鮮な体験だ。一方、作品全体を通して描写の足りなさを感じる部分もあり、そこは文庫の末尾にある解説でも触れられている。
血で血を洗う戦国時代。今のように不確実性の社会で、人らしさと向き合いながらもがく主人公たちの物語が面白かった。熱源も日本と外国に焦点を当てた作品のようで、機会があれば読んでみたい。




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